実家に一泊する。その日はとても良い天気だったからすっかり油断して、翌日雨がひどくなるなんて少しも疑わずに家を出てきてしまった。
今日は仕事。
白いズボン、白いキャンパス生地のスニーカー。白いトートバッグ。防ぎようのない斜めに降る雨。
完全に間違えた。
バス停に行くだけでズボンはすっかり濡れてしまった。しっとりと皮膚にまとわりつく。幸い靴はまだ中まで染み込んできていない。泥跳ねに気をつけてはみるもののどう考えても防ぎ切れない。
濡れたズボンでバスを利用すると、車内で冷房が効いている時期になっていたことに気がつく。風で濡れた部分が冷えてとても寒い。
傘文明は全然進化していないとはよく言われるけど、防水加工商品やレイングッズは増えているから、今日はすれ違う人皆それぞれが雨への回答のような服装をしている。
意識するほどに自分の無防備さが恥ずかしくなる、防御力ゼロどころかこれはマイナスだ。
バスから降りて実家で借りた傘を開くと、中心の枝から水が滴ってきた。明らかに漏れている。
あぁ、マイナスだ。
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