喫茶とおばちゃん

仕事で来ている小さな駅から、2・3分くらいのところにあるらしい、Googleマップで「喫茶」と検索したらでてきたいかにも古そうな喫茶店、に行ってみることにする。

梅雨入り前のやたらと天気が良い日で、夏のような日差しがキツい。

昼過ぎのロータリーは日陰が全然なくて、早歩きで店に向かう。ギラギラとした日差しを浴びながら歩いていると、調べた店情報に載っていた写真と同じ鮮やかな緑の看板が見えてきた。

店頭には古びて中がほぼ見えない曇ったガラスケースが置いてあった。入り口の自動ドアは店名と何か草のような絵柄がプリントされていて、外から店内の様子はよく分からない。まあでも昼のピーク時間は過ぎているし、そんなに混んでいないだろうと、入ってみることにする。

自動ドアが開くとおばちゃん達のグループが一斉にこちらを見る。その視線は勢いがあり一瞬ひっと尻込みする。でもおばちゃん達は誰かを待っているらしく、待ち人ではないことが分かると目線を仲間に戻し中断したおしゃべりを再開した。目線を逸らされてホッとしたら店内の様子が見えてきた。客はおばちゃんグループだけで、結構広めのお店だ。天井が高くて、古めかしいライトが吊るされている。

おばちゃんたちは店内の真ん中にいるので座る席に少し迷ったけれど、おばちゃんたちの斜め奥に座ることにする。昼ごはんは食べてしまったのでブレンドとプリンを頼む。硬いプリンが好きなので、この店の風貌にプリンの硬さを期待する。

注文を取りに来てくれたのもおばちゃんで、でも客のおばちゃんよりも静かな佇まいで、店の雰囲気を良くしていた。

客のおばちゃん達は大きな声でタバコを吸いながらワクチンの話をしている。マスクをせずに密集して、ワクチンが怖いと盛り上がっている。わたしは昔〜をやってるから…あの病院はやぶだけど…わいわい。こんなにのびのびと騒いでいるおばちゃん達を久々に見たので、清々しさすら感じられた。おじちゃんみたいなおばちゃん達。ピラフ頼んでいる、いいねピラフ。

おばちゃん達のピラフの後に、私のところにブレンドとプリンが運ばれてきた。店員の静かなおばちゃんは目が優しい。ここにいても大丈夫だという気持ちにさせてくれる。

プリンはアラモード!な皿にのって、ホイップクリームと缶詰のみかんとさくらんぼと、緑の砂糖のやつ(こういったメニューでお見かけするやつ、これはなんなんだろう?)がのっていた。ああ。プリンは卵な黄色とカラメルの茶色。ああ。嬉しい。

スプーンを入れると思ったよりも柔らかめだけど味は懐かしい感じ、美味しい。ありがとう。おばちゃん達は待ち人も揃い会話は共通の知り合いの話題に変わり弾み続けている。

ついおばちゃん達の話を聞いてしまい本はあまり読めなかったけど、柔らかな時間、とはちょっと違うけど、いい感じです。このプリンみたいな。硬くもなく柔らかすぎもしない。人が濃いめにいる空間。

居心地が悪くないから、おばちゃん達と同じくらい、私もここにいる感じがする。

この空間(静かなおばちゃん)とおばちゃん達とわたし。が成立した気がした。

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