ハーゲンダッツ

アイスが食べたくてスーパーのアイス売り場にいく。

安い箱アイスを買うつもりだったが、端っこの冷凍庫に198円で売られているハーゲンダッツを見つけた。売り場はスカスカになっていた。

何が残っているのか覗き込んでみると奥にマカデミアナッツが数個残っているのを見つける、大好きなやつだ。ドアを開けてお奥まで手を伸ばす。

数年ぶりにハーゲンダッツを買う。

夜、晩酌後に冷凍庫に入れていたハーゲンダッツを取り出す。

紙製の容器の部分が力を入れるとむにょんとなった、これは柔らかすぎる、冷凍庫の奥に置き直しもう少し待つことにする。

少し経ってからもう一度出してみると、さっきより硬くなっていたのでよし。食べることにする。

プラスチックの蓋を開けてからフィルムの蓋をぴりりと開けて、小さいスプーンで口に運ぶ。

口に入れた瞬間、内側に篭っていた全身の視界が毛穴が開く。「わ〜〜〜〜〜美味〜〜〜〜」

なんとなくずっとモヤがかかっていたような憂鬱な気持ちが吹き飛んで、美味しさにこの瞬間が占領される。美味しさしかない瞬間になる。

こんなに美味しかったっけ。美味しいってすごい。

一口一口が、美味しい。何度も驚く。何度も美味しいに出会う。

美味しいものって、すごい。すごい。

でも毎日食べるとそれは違うことになってしまうんだろう。

この美味しさの驚きには久しぶりというのが重要で、忘れさせる時間が必要だ、多分。


あのアイスコーナーの奥にハーゲンダッツがあることを、忘れないと。

またこの幸せを、美味しいに支配される瞬間を味わうために。

最新記事

すべて表示

ワクチンと台風

ワクチンの福反応で昨日は一日倒れていた。 頭が痛く熱も上がり関節も痛い。看護系の友人にはワンデーインフルエンザと言われた。確かに症状としてはそんな感じだった。とにかくしんどいのでずっと横になり、気を失うように寝ては起きてを繰り返し時間が過ぎるのを待っていた。 今日は熱も下がり幾分マシになったが、まだ頭が痛くだるい。咳をすると頭に響いてしんどい。図書館で大量に借りた本たちも読みたいし、ウェブサイトも

大船渡コンサート①

大船渡へと向かってバスに揺られている。 三年ぶりの、大船渡だ。 新幹線はやぶさを降りるとモワッと夏の暑さが体を覆う。東北だから少しは涼しいのかと勝手に想像していたが、暑さはやっぱり天気予報通りで、どこもそんなに変わらないようだ。 今回は大船渡出身のピアニスト、桑原裕子さんが主催するコンサートの大船渡公演に、ダンスで出演する。三年前は参加人数が少なかったので車で行ったのだが、今回は弦楽団がいて大所帯

いること・在ること

色々と喋っている中の話の流れで「生きる意味」といった話題になった。 生きる意味、そんなものはなくても、ここにいられることが重要だと思った。 理由がなくてはここにいられない、というのはなんだか寂しいし、悔しい。排除される理由なんてない。 まずはここにいる。そこから始める。 そういうことを、わたしはダンスでやってきたんだと気づく。