スマホを忘れる、レモンの新芽

スマホとWi-Fiを家に忘れて駅まで来てしまう。 少し早く家を出ていたものの取りに戻る時間はなかったので、そのまま仕事先へ向かうことにする。

PASOMOはスマホの手帳型ケースの中に入れていたので、仕方なく切符を買うことにする。 料金表を確認し、券売機を使い切符を購入する。券売機から勢いよく出て来た切符は思いのほか小さかった。

スマホもインターネットもないと不安になるものだが、仕方ないと割り切ると湧き上がってくる開放感とちょっとした不安の間で揺られる。連絡手段を持たずに乗り慣れない電車に乗り見慣れない景色を見ているとリードが外れた犬のようで、このまま何処かへ行ってもいいよと言われているようにも感じてくる。

天気がとても良くて、暖かい陽射しが車内を照らす。12月だけど換気のために窓が空いていて外の風が入ってくる。それでも暖かいのでマフラーはカバンの中にしまいコートの前を開けて座席に座る。

部屋の窓辺ですくすくと育っているレモンの苗を思い出す。引越して日当たりがとても良くなった新居の窓辺で苗は日に日に小さな新芽の葉を増やしている。しっかりしていて濃い緑色だが、新芽は明るい黄緑で、若い部分だけ窓から降り注ぐ陽に透ける。

わたしも陽にあたろう、陽に当たって、新芽を出そう。

あの透ける新芽のような柔らかく強いもの。触ると落ちてしまいそうな小さな芽がわたしの首元からちょこんと出てくるイメージが頭に浮かんだ。

厚く濃い緑と透ける黄緑。

歳を重ねた部分と生まれたての部分。

老いと若さ。

陽に当たる。冬の心得。

最新記事

すべて表示

ワクチンと台風

ワクチンの福反応で昨日は一日倒れていた。 頭が痛く熱も上がり関節も痛い。看護系の友人にはワンデーインフルエンザと言われた。確かに症状としてはそんな感じだった。とにかくしんどいのでずっと横になり、気を失うように寝ては起きてを繰り返し時間が過ぎるのを待っていた。 今日は熱も下がり幾分マシになったが、まだ頭が痛くだるい。咳をすると頭に響いてしんどい。図書館で大量に借りた本たちも読みたいし、ウェブサイトも

大船渡コンサート①

大船渡へと向かってバスに揺られている。 三年ぶりの、大船渡だ。 新幹線はやぶさを降りるとモワッと夏の暑さが体を覆う。東北だから少しは涼しいのかと勝手に想像していたが、暑さはやっぱり天気予報通りで、どこもそんなに変わらないようだ。 今回は大船渡出身のピアニスト、桑原裕子さんが主催するコンサートの大船渡公演に、ダンスで出演する。三年前は参加人数が少なかったので車で行ったのだが、今回は弦楽団がいて大所帯

いること・在ること

色々と喋っている中の話の流れで「生きる意味」といった話題になった。 生きる意味、そんなものはなくても、ここにいられることが重要だと思った。 理由がなくてはここにいられない、というのはなんだか寂しいし、悔しい。排除される理由なんてない。 まずはここにいる。そこから始める。 そういうことを、わたしはダンスでやってきたんだと気づく。